案山子

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今回はさだまさしさんの「案山子」です。
親が離れて暮らす子を想う、これは泣ける歌です。

この曲を語ろうか、正直ちょっと迷いました。

この「案山子」を初めて聴いたのは、まだ北海道で親と一緒に暮らしていた高校生の頃。
その頃は特別な印象も持たずにただ聞き流していた。

そんな私が初めて就職で親元を離れて、東京へ行くことになったのが24歳の時だった。
母がまだ一度も東京へ行ったことが無かった事もあり、私の上京に両親が同行する事になった。
私の生活の場となる会社の寮に生活用品を揃えてくれて、数日間滞在したのち両親は北海道へ戻って行った。

ポツンと初めて部屋で一人になった時、偶然ラジオから流れてきたのがこの「案山子」だった。
「元気でいるか?町には慣れたか?友だち出来たか?淋しかないか?お金はあるか?今度いつ帰る?」
涙がどっと溢れてきた・・・初めてこの曲の優しさ、温かさ、切なさが理解出来た。
「手紙が無理なら電話でもいい、金頼むの一言でもいい。お前の笑顔を待ちわびるお袋に聞かせてやってくれ」
そりゃ電話しちまうよ・・・ さすがにお金の催促だけはしなかったけど・・・・。

この「案山子」は故郷を離れて一人暮らしをしている弟を心配した、兄の視線で書かれた曲。
出だしの「城跡から見下ろせば蒼く細い川 橋のたもとに造り酒屋の煉瓦煙突」この風景はさださんが好きで良く訪れていた山陰の小京都、津和野の町をイメージしているそうだ。

2番の歌詞にタイトルになった案山子が出てくる。
「銀色の毛布付けた田んぼにポツリ、置き去られて雪をかぶった 案山子が一人」
さださんがある日電車から見た車窓風景で何気なくこの案山子を見つけた時に、この曲のイメージが思い浮かんだそうだ。

続く歌詞が切なくて。。
「お前も都会の雪景色の中で、ちょうどあの案山子のように 淋しい思いしてはいないか、体を壊してはいないか」
親が子を想うのは無償の愛。お袋もこんな自分の事をこんな風に心配しているのだろうか?
そう思うといたたまれなくなり、出来るだけ帰省出来る時には帰った。手紙は書けなかったけど時々電話はした。

そんなお袋が突然この世を去ったのは16年前の事。
しばらくはその大きな喪失感を埋めようもなかった。
この「案山子」もしばらくは聴く事ができなかった。聴くと涙が止まらなくなるから・・・。

今、ようやくカラオケでも歌うようになり、部屋でギターで弾き語る事もある。
でも人前では弾き語れないだろうな。
いつ涙がこぼれてくるかわからないから。

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